林内で最もよく見られるラン(ラン科の総称)のひとつです。養分の一部を菌類からもらって生活しています(部分的菌従属栄養植物)。球根(偽鱗茎)は粘り気が強く、アイヌに糊として使われました。

和名 サイハイラン(采配蘭)、テンマ(天麻)

英語名 Single-leaf Cremastra

学名
Cremastra appendiculata var. variabilis (Blume) I.D.Lund
Cremastra appendiculata f. albiflora B.Kill & Y.N.Lee
Cremastra appendiculata var. viridiflora (Honda) Aver.
Cremastra lanceolata (Kraenzl. ex Diels) Schltr.
Cremastra mitrata A.Gray
Cremastra triloba Hayata
Cremastra variabilis (Blume) Nakai
Cremastra variabilis var. viridiflora Honda
Hyacinthorchis variabilis Blume
Pogonia lanceolata Kraenzl. ex Diels

観察難易度 ★★☆☆☆

分類
門  :被子植物門
無階級:単子葉類
目  :キジカクシ目
科  :ラン科
属  :サイハイラン属
種  :Cremastra appendiculata
変種 :サイハイラン

分布 日本、南千島、サハリン、朝鮮半島、中国、台湾、ヒマラヤ。日本国内では北海道、本州、四国、九州に分布する。

生育環境 林内。

生活環 多年草。初夏に開花、結実後し、その後は地上部を枯らして休眠することが多い。秋に新葉を出し、そのまま越冬する。

全体の特徴 ロゼット型。高さ30~50cm。

 地下に偽鱗茎がある。地上茎はない。

 根出葉のみ。1~2個つく。葉身は狭長楕円形、長さ20~30cm。3脈が目立つ。皮質でやや硬い。基部は鞘状になり茎を抱く。秋に新葉を出し、そのまま越冬する。

 総状花序。花茎の一方に偏ってつく。側弁と萼片はほぼ同形同大、長さ3~3.5cm、濃紅色。唇弁は長さ3cm、紅紫色。蕊柱の先は黄色。花期は5月下旬~6月。

果実 蒴果。

見分けのポイント 葉は皮質でやや硬い。3脈が目立つ。

成分
マンナン:偽鱗茎に含まれる。コンニャクの主成分。ダイエット食品に使われる。

用途 偽鱗茎は食用、アイヌが糊として使用、生薬『天麻(てんま)』の原料。

法規制等
環境省レッドデータブック2014:なし
北海道レッドデータブック2001:なし
世界の侵略的外来種ワースト100(国際自然保護連合):なし
日本の侵略的外来種ワースト100(日本生態学会):なし
生態系被害防止外来種リスト(環境省):なし
北海道ブルーリスト2010(北海道):なし

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