【特集】植物の嘘

4月1日はエイプリルフールですね。毎年この日は世界中で嘘が飛び交い、当サイトも例外ではなさそうです。さて、今回は植物の世界の『嘘』をいくつかご紹介しましょう。

嘘の花

ミズバショウの花が咲いています。1個の花のように見えますが・・・?

ミズバショウ

これは小さな花が数百個集まったものです。白い花びらのようなもの(仏炎苞)の手前にある小さなブツブツの1つ1つが、本当の花です。

ミズバショウのように複数の花が集まったもの(もしくは花の付き方のこと)を、花序といいます。花序には、ノハラムラサキのように花が隣り合っているだけのものから、ムラサキツメクサのように1個の花のように見えるものまで様々な形があります。中には花同士が高度に連携しているものもあり、その最たるものの一つがフランスギクの花序です。白い花びらのように見えるものが1個の花で、花序の外周にぐるっと並んでいます。花序の中央には形の異なる黄色い花がたくさん密集しています。

嘘の果実

イチョウがたくさんのギンナンをつけていました。果実のように見えますが・・・?

イチョウ

ギンナンはイチョウの種子のことです。果実ではありません。種子の一番外側の部分(外種皮)が肥大して果実のようになり、この中に茶碗蒸し等にして食べられる部分(胚乳と胚)が入っています。

イチョウモンタナマツ等の裸子植物は果実を作りません。モンタナマツの松ぼっくりは果実のようにも見えますが、花序の一部が肥大、木質化したもので果実とは異なります。一方、被子植物はすべて果実を作ります。ただ、シラタマノキは萼が、ヤブヘビイチゴは花托が大きく果実のようになり、本当の果実は小さく目立ちません。

嘘の葉

これは紅葉し始めた頃のナナカマドです。枝に9個の葉がついているようですが・・・?

ナナカマド

本当はこれ全体で1個の葉です。9個の葉のように見えるもの(小葉)と、小葉同士を繋ぐ枝のような部分(葉軸)で、1個の葉を形成しています。

ナナカマドの葉のように、1個の葉が複数に分かれて見えるものを複葉といいます。複葉は、分かれていない葉(単葉)に比べて、状況によって光合成やエネルギー効率の面で有利になると考えられています。シダ植物門には細かく分かれた葉をもつものが多く、中でもゼンマイはわかりやすい複葉の形をしています。クルマバソウは、1ヶ所から葉が6~10個ほど出ているように見えますが、本当の葉は2個だけで、それ以外は托葉という器官が変化したものです。ヒノキアスナロの枝先は緑色の枝とも葉ともつかない様子をしていますが、よく見るとたくさんの小さな葉が枝を覆いつくしていることがわかります。

嘘の名前

札幌市にある北1条通が舞台の童謡『この道』では「あかしやの花が咲いてる」と歌われ、アカシア蜂蜜の原料にもなる、この植物の名前は・・・?

ニセアカシア

ニセアカシアです。本当のアカシアはアフリカ等に分布しています。動物番組等の映像で、サバンナに生えている様子を見たことのある方も多いのではないでしょうか。

ニセアカシアのように人間の都合で嘘のような名前にされてしまった植物があります。ツルウメモドキは『蔓状のウメモドキ』という意味の名ですがウメモドキの近縁ではありません。そしてウメモドキはウメに若干似ていますがウメの近縁ではありません。ややこしいですね。ニワウルシはウルシに葉が似ていることからこの名がありますが、本来ウルシとは関係がなく、かぶれる心配もありません。アズキナシは本当はアズキでもナシでもありませんが、果実が小さなナシのようであるとしてこの名がつけられました。

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