同属のエゾマツと共に北海道の木に指定されています。葉の断面が扁平なエゾマツに対し、アカエゾマツは断面が菱形になることで見分けられます。またアカエゾマツの方が岩場や砂丘等の過酷な環境に適応しており、しばしば激しく損傷、変形しながらも逞しく生育する個体に出会えます。シンコマツとも呼ばれますが、シンコはアイヌ語のスンク(エゾマツのこと)がなまったものです。

和名 アカエゾマツ(赤蝦夷松)、ヤチシンコ(谷地シンコ)、シンコマツ(シンコ松)、テシオマツ(天塩松)、シコタンマツ(色丹松)

生薬名 —

アイヌ語名 チカプスンク

英語名 Sakhalin spruce, Glehn’s spruce

学名
Picea glehnii (F.Schmidt) Mast.
Abies glehnii F.Schmidt
Pinus glehnii (F.Schmidt) Voss

観察難易度 ★★☆☆☆

分類
門:裸子植物門
綱:マツ綱
目:マツ目
科:マツ科
属:トウヒ属
種:アカエゾマツ

分布 日本、南千島、サハリン南部。日本は北海道、本州(早池峰山)に分布する。

生育環境 林内にも生育するが、湿地、蛇紋岩地帯、砂丘、火山灰地、岩場、礫地等土壌が少なく厳しい環境で特によく見られる。

生活環 常緑樹

全体の特徴 高木。高さ30~40m。

 赤褐色~黒赤褐色。不規則に剥がれる。

 線形。長さ0.5~1.2cm。断面は菱形。

:雌雄異花。雌花は円柱形、長さ3cm、直立する。雄花は円柱形、長さ1.5cm、直立する。花期は5~6月。

球果 円柱形。長さ5~8cm。下垂する。9月に成熟する。成熟後ばらけずに球果ごと地上に落ちる。

種子 —

見分けのポイント
北海道で見られるマツ科トウヒ属は主に以下の4種。いずれも葉は硬く先が尖るため、触るとチクチクする。
ドイツトウヒ:球果は圧倒的に大きく、長さ約20cm。外来種。公園等に人為的に植えられていることが多い。
・アカエゾマツ:葉が最も短く、長さ約1cm。在来種。湿地やガレ場等過酷な環境でよく見られる他、公園にもとてもよく植えられている。
エゾマツ:葉の長さは中程度。在来種。山地でトドマツや広葉樹と混じって生え、純林は作らない。人為的に植えられることも多い。
プンゲンストウヒ:葉が最も長く、長さ2~3cm。葉が白色の品種が多い。外来種。公園等に人為的に植えられていることが多い。

成分 —

用途 楽器材、特にピアノの響板。建築材。器具材。公園樹、庭園樹。盆栽。生垣。

法規制等
環境省レッドデータブック2014(環境省):なし
北海道レッドデータブック2001(北海道):なし
文化財保護法(日本):天然記念物(早池峰山のアカエゾマツ自生南限地)
北海道文化財保護条例(北海道):なし
世界の侵略的外来種ワースト100(国際自然保護連合):なし
日本の侵略的外来種ワースト100(日本生態学会):なし
外来生物法(日本):なし
生態系被害防止外来種リスト(環境省):なし
北海道ブルーリスト2010(北海道):なし

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