柏餅を包む葉として有名です。秋に枯れた葉は春まで落ちずに枝についています。「いつも和人に騙されていたアイヌの人が和人からお金を借りて、カシワの葉が落ちたら返す約束をしたところ、いつまでたっても葉が落ちなかった。」という逸話があります。
和名 カシワ(柏、栢、槲、檞)、カシワギ(柏木、栢木、槲木、檞木、柏樹、栢樹、槲樹、檞樹)、オオカシワ(大柏、大栢、大槲、大檞)、モチカシワ(餅柏、餅栢、餅槲、餅檞)、ハハソ(柞、母蘇、波播蘇、波々蘇)
生薬名 檞樹(こくじゅ)、檞葉(こくよう)
アイヌ語名 コムニ、ゴムニ、コマムニ、コムニシランパカムイ
英語名 Japanese emperor oak, daimyo oak
学名
Quercus dentata Thunb.
Quercus dentata ssp. stewardii (Rehder) A.Camus
Quercus dentata ssp. yunnanensis (Franch.) Menitsky
観察難易度 ★★☆☆☆
分類
門 :被子植物門
無階級:真正双子葉類
無階級:コア真正双子葉類
無階級:バラ類
無階級:真正バラ類I(マメ類)
目 :ブナ目
科 :ブナ科
属 :コナラ属
種 :カシワ
分布 日本、南千島、朝鮮半島、中国。日本は全国に分布する。
生育環境 日当たりの良い環境を好む。海岸に多い。海岸そばではしばしば純林を作る。
生活環 落葉樹。
全体の特徴 高さ20m。海岸に生えるものは高さ2m程の低木状になることが多い。
根 —
幹 径1m以上。樹皮は縦に深く裂ける。
葉 互生。倒卵状長楕円形。長さ12~30cm。特徴的な波状鈍鋸歯縁。基部は楔形に狭くなり、やや耳状になる。葉柄はごく短い。裏側に毛を密生する。やや厚みがあり、硬く、ゴワゴワする。秋に枯れた後、春まで枝上に残る。
花 雌雄異花。雌花序は黄緑色、新枝の上部の葉腋につく。雄花序は新枝の下部に下垂する。花期は5~6月。
果実 堅果。楕円形~球形。長さ1.5~2cm。褐色。通称ドングリ。総苞は硬くなり殻斗(通称はかま)になる。総苞片は螺旋状に密生し反り返る。9~10月に成熟する。
種子 —
見分けのポイント
北海道で見られるドングリのなる樹(ブナ科コナラ属)は主に以下の4種。葉に注目すると見分けやすい。
・アカナラ:葉は特徴的な羽状中裂~羽状深裂。帰化していない外来種のため、自然界で見かけることはない。
・ミズナラ:葉は倒卵状長楕円形。鋸歯はカシワより小さく、尖る。北海道では最もよく見られる。
・カシワ:葉は特徴的な波状鈍鋸歯縁。鋸歯はミズナラより大きく、円い。秋に枯れた葉は最も遅く春まで枝上に残る。海岸付近でしばしば純林を作る。
・コナラ:葉は最も小さく、鋸歯も最も小さい。葉柄が最も長い。十勝以西、空知以南に分布する。
成分 —
用途 葉は柏餅の材料として重要。樹皮は皮なめしの材料。樹皮、葉、種子は薬用。木材は枕木、器具の材料。
法規制等
環境省レッドデータブック2014(環境省):なし
北海道レッドデータブック2001(北海道):なし
文化財保護法(日本):なし
北海道文化財保護条例(北海道):大正のカシワ林
世界の侵略的外来種ワースト100(国際自然保護連合):なし
日本の侵略的外来種ワースト100(日本生態学会):なし
外来生物法(日本):なし
生態系被害防止外来種リスト(環境省):なし
北海道ブルーリスト2010(北海道):なし
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