串が貫通したソーセージの様な姿(雌花序)が強烈に印象的です。古事記の一節『因幡の白兎』では、ガマの花粉によってウサギの怪我が治る様子が描かれています。実際、ガマの花粉には様々な薬効があり、生薬『蒲黄(ほおう)』として流通しています。茎は簾(すだれ)の材料になることから、ミスクサ(御簾草)とも呼ばれます。

和名 ガマ(蒲、香蒲)、ミスクサ(御簾草)、ミスグサ(御簾草)、ホオウ(蒲黄)

英語名 broadleaf cattail, bulrush, common bulrush, common cattail, cat-o’-nine-tails, great reedmace, cooper’s reed, cumbungi

学名
Typha latifolia L.
Massula latifolia (L.) Dulac
Typha ambigua Schur ex Rohrb.
Typha crassa Raf.
Typha elatior Boreau
Typha elatior Raf.
Typha elongata Pauquy
Typha elongata (Dudley) Dudley
Typha engelmannii A.Br. ex Rohrb.
Typha intermedia Schur
Typha latifolia f. divisa Louis-Marie
Typha latifolia var. elongata Dudley
Typha latifolia ssp. eulatifolia Graebn.
Typha latifolia var. obconica Tkachik
Typha latifolia var. typica Rothm.
Typha major Curtis
Typha media Pollini
Typha palustris Bubani
Typha pendula Fisch. ex Sond.
Typha remotiuscula Schur
Typha spathulifolia Kronf.

観察難易度 ★★★☆☆

分類
門  :被子植物門
無階級:単子葉類
無階級:ツユクサ類
目  :イネ目
科  :ガマ科
属  :ガマ属
種  :ガマ

分布 かなり広く、北半球の温帯~寒帯と、南半球の一部に分布する。オーストラリアに帰化している。日本国内では北海道、本州、四国、九州に分布する。

生育環境 低地の水辺。畦、用水路、沼等。

生活環 多年草。

全体の特徴 抽水植物。長い地下茎から水上に株を立ち上げて群生する。高さ1.5~2m。

 地下茎がある。地上茎は葉より高く伸び、先端に花をつける。

 葉身は線形、幅1~2cm。かなり厚みがあり、スポンジ状。断面は三日月形。無毛。基部は鞘状になり茎を抱く。

 雌雄異花。花弁と萼片はない。雄花序は円柱形、茎頂につく、花後に脱落して茎が露出する。雌花序は円柱形、雄花序の直下につく。雄性先熟のため、雌花の時期には串が貫通したソーセージの様な姿になる。花期は7月~8月中旬。

果実 袋果。楕円形。水中で裂開し種子を放出する。冠毛がある。

種子 長さ1㎜。

見分けのポイント 雌花序は串が貫通したソーセージの様な姿。葉はかなり厚くスポンジ状。

成分
イソラムネチン:花粉に含まれる。
α-ティファステロール:花粉に含まれる。
β-シトステロール:花粉に含まれる。

用途 若葉は食用。花粉は薬用。葉と茎はムシロ、ゴザ、簾の材料。花序は蚊取り線香の原料。花序はそのまま火口に使われる。

法規制等
環境省レッドデータブック2014(環境省):なし
北海道レッドデータブック2001(北海道):なし
世界の侵略的外来種ワースト100(国際自然保護連合):なし
日本の侵略的外来種ワースト100(日本生態学会):なし
外来生物法(日本):なし
生態系被害防止外来種リスト(環境省):なし
北海道ブルーリスト2010(北海道):なし

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